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「ケインズ革命」の幻想

Friedman-Schwartzの大著"Monetary History of the United States 1867-1960"の、大恐慌の章だけのダイジェスト版が再発売された。原著は、大恐慌の原因を「有効需要の不足」とする通説に挑戦し、その責任がFRBの誤った金融政策にあることを明らかにして、経済学や経済政策に大きな影響を与えた古典だが、膨大なデータの並ぶ900ページ近い本で、通読した人はまずいないだろう。本書も読みやすいとはいえないが、大恐慌の本質がマネタリーなものだったことを立証する点で、現在の危機を理解する役に立つ。

もう一つ重要なのは、当時と現在の違いである。シュワルツもいうように、1930年代のFRBの政策が通常の景気循環を大恐慌にしてしまったので、中央銀行がそんなバカな政策さえとらなければ、「大恐慌の再来」はありえない。90年代の日本も同じで、ゼロ金利や量的緩和を行なった日銀を昭和恐慌と同一視して「清算主義」などと罵倒するのはナンセンスである。日本の長期不況の本質も金融危機だったので、不良債権を清算しないかぎり危機は脱却できない。

シュワルツも本書の序文で書いているように、「ケインズ革命」といわれたものは今となっては幻想で、『一般理論』は厳密に定式化すれば、固定価格のもとでの一時的な不均衡状態を記述する「特殊理論」にすぎない。その弊害は、ある意味ではロシア革命より大きい。ロシア革命が間違いだったことは今日では誰でも知っているが、ケインズ革命の影響はまだ政治家ジャーナリストに残っているからである。
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コメント
 
 
 
Unknown (藤井 まり子)
2008-10-11 23:15:27
いつも勉強させていただいております!

奇遇にも、先生とは違うアプローチで、先生の「グローバル資本市場:自由主義の放任」で紹介されたのと「ほぼ同じ1,400兆円(1.4兆ドル)の損失額」が、私のほうも算出できました。↓
『日本経済を後追いする欧米。(今は世界規模でのLTCM破綻!) 』
http://diary.jp.aol.com/uvsmfn2xc/1152.html
 
 
 
国民貸借対照表でいえば (迎 秀昌)
2008-10-12 10:40:59
計測している対象が違っているし、ピント外れかもしれませんが。
総資産における調整勘定の日本のバブル前後の変動は、
総資産比率でおおよそプラス15%からマイナス15%に、
激減している。金額として400兆円規模。
(吉川著「マクロ経済学第二版」)

70年代のインフレ期の方がプラス20%と大きかった。当然ながらいずれも金融緩和の反映でしょうね。

現時点では単なる低金利アクションではなく、公的資金投入が焦眉というのは、分かる気がします。

日本ではいまだに資産デフレの後遺症が癒えてないと思うのですが、世界はこれから資産デフレを漂うのでしょうか。




 
 
 
ケインズ理論≒ひも理論? (ふじいちゃん)
2008-10-12 19:38:44
「迷走する物理学」などの本を読むと、今や物理学の華たる「ひも理論」も空想の中のお遊びにすぎないのでは、、、という笑えない指摘がなされています。世界中の真の秀才が信頼し(信じ)、極端に高度な数式で理論化した物理学の世界が偽物かもしれない、、。
世界中の優秀な科学者からお墨付き?を得ているだけに、異議を唱えることを許さない空気が学会の中に隠然とあるようです。
ケインズの一般理論を良しとして勉強してきた秀才達が世間の中枢を牛耳っている現状には、「ひも理論」より「長〜い歴史」があります。悲観的かもしれませんが、「宗旨変え」を自主的に行なう政治家もジャーナリストなど皆無だと思います。先生のお弟子さん達の時代にならないと「革命」の影響は終わらないのではないでしょうか。
 
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