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クラウド化する世界
2008-10-10
/
Books
The Big Switch
の訳本が出た。元記事で書いたように、cloud computingを実装しているエンジニアが読んで参考になるような新しいことは、何も書いてない。しかし私の経験でいうと、現場のエンジニアが「3年古い」と思うような話が、経営者の常識になるにはあと3年ぐらいかかり、役所はそのさらに3年ぐらい前の技術に予算をつけることが多い。
この分野で役所が力を入れているのは、レガシー技術と化した
スパコンの戦艦大和
や
日の丸検索エンジン
だ。両方とも、現場のエンジニアは「もう勘弁してほしい」とか「こんなのに何年もつきあったら私のキャリアが台なしになる」といっているが、彼らを派遣しているITゼネコンは「補助金あさり」と割り切っている。グローバル市場で勝てないのだから、税金を食い物にするしかないのだ。
この現場と経営トップの認知ギャップの大きさが、日本のIT産業をだめにしている原因なので、cloud computingが日本語の単行本になったことに意味がある。IT企業の経営者は、この訳本ぐらい読んでほしい。そうすれば、グーグルがなぜChromeを出したのかがわかるだろう。それは単なるブラウザではなく、インターネットを並列計算環境にするためのプラットフォームなのだ。また霞ヶ関で情報通信産業を担当する官僚も読んだほうがいい。今からでも遅くないので、戦艦大和の建造はやめるべきだ。
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コメント
クラウドが新たな戦艦大和になるかもしれません
(
佐藤
)
2008-10-13 21:50:41
池田先生、こんにちは
クラウドコンピューティングが新たな戦艦大和になるかもしれません。
クラウドコンピューティングは計算負荷の変動が大きい情報システムに向いています。これに該当するのが、政府の大型情報システム、例えば税金や年金の管理システムです。ご存知のように政府系の情報システムは年度末などの特定の時期に負荷が集中しますが、その最大負荷を想定して大規模な情報システムになっています。ですから政府系の大型情報システムは、海外のクラウドコンピューティングのインフラに移行するとコストが下げられます。これは地方公共団体についてもあてはまるはずです。
しかし、政府・公共系の大型情報システムがクラウドコンピューティングに移行すると、いわゆるITゼネコンの方々は仕事(例えばメンテナンス業務)が大幅に減ることになります。そこでITゼネコンの方々は年金や税金の情報を、海外のクラウドコンピューティングインフラにおいて安全なのかと大騒ぎをして、国産クラウドコンピューティングインフラを作るように政府や政治家にけしかけるでしょう。そうなると戦艦大和のように高コストで時代遅れの官製クラウドコンピューティングインフラができてしまいます。
クラウドコンピューティングでは、戦艦大和の建造のような事態だけは避けたいです。
ところで、クラウドコンピューティングが普及すると情報システムは一変してしまいます。しかし、クラウドコンピューティングに想定したインフラ管理責任や情報漏洩などに対する法的・社会的な整備が進んでいないのが現状であり、なんとかしたいところです。
ITゼネコン
(
池田信夫
)
2008-10-13 22:42:16
今晩は、佐藤さん。
先日、某ITゼネコンの幹部と話したのですが、日の丸検索エンジンは末期症状ですね。さすがの彼も「経産省の担当者が代わって、何をやってるのかわからなくなった。ただ、おつきあいしてればいくらかはもらえるので、このごろは”標準化要員”を出している」と言っていました。標準化要員というのは、現場で使えなくなった年配のエンジニアを他社との「**委員会」に出すもので、協調性は高いが決定権がないので、協議が果てしなく続きます。
クラウド・コンピューティングについては「当社には向いてない」と言ってました。日本のメーカーは「すり合わせ」による高品質(高価格)が売り物なので、クラウドのようなbest effort的な発想は受け付けないようです。そのうちインドのデータセンターあたりが日本からアウトソーシングを請け負うようになるんじゃないですかね。この前の戦争みたいに、いったん壊滅しないとわからないと思います。
壊滅してもわからないかもしれません
(
佐藤
)
2008-10-14 21:50:22
池田先生
日の丸検索エンジンは最初から視点がずれていますし、参加企業も割あわない仕事を回されないようにすることしか関心がないようですね(業界ネタでは「情報大後悔」と呼んでいます)。「**委員会」とは旧通産省の失敗プロジェクトでも、シグマプロジェクトなみのマネージメントですね。
クラウド・コンピューティングは、日本は地震があることに加えて、何よりも電気代が高いので、日本国内にサーバ設備をおいても、海外のクラウドコンピューティングインフラに勝てないでしょう。
また、海外インフラは海運用コンテナーに100台ぐらいのサーバをいれて、サーバが壊れたらコンテナーごと入れ替えるようなベストエフォート的なシステム管理を想定しているので、ITゼネコンの経営者に絶対に理解できない世界でしょう。
ただ、クラウド・コンピューティングになってしまうと、付加価値の高いサービスや電子商取引はすべて海外のサーバで行われることになり、日本の情報システムは空っぽ、つまり日本全体がダム端末化してしまいます。
ベストセラー
(
池田信夫
)
2008-10-18 13:22:15
この本は、アマゾンのアフィリエイトで異例の売れ行きです。1週間で80冊と、『さらば財務省!』に次ぐ記録。アマゾンのベストセラーでも、最高40位まで行きました。
日本の経営者や官僚にもこれぐらいの常識が共有されると、少しは状況が改善されるのではないでしょうか。冷房費を節約できる北海道にとっては、ビジネスチャンスかもしれない。
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クラウドコンピューティングが新たな戦艦大和になるかもしれません。
クラウドコンピューティングは計算負荷の変動が大きい情報システムに向いています。これに該当するのが、政府の大型情報システム、例えば税金や年金の管理システムです。ご存知のように政府系の情報システムは年度末などの特定の時期に負荷が集中しますが、その最大負荷を想定して大規模な情報システムになっています。ですから政府系の大型情報システムは、海外のクラウドコンピューティングのインフラに移行するとコストが下げられます。これは地方公共団体についてもあてはまるはずです。
しかし、政府・公共系の大型情報システムがクラウドコンピューティングに移行すると、いわゆるITゼネコンの方々は仕事(例えばメンテナンス業務)が大幅に減ることになります。そこでITゼネコンの方々は年金や税金の情報を、海外のクラウドコンピューティングインフラにおいて安全なのかと大騒ぎをして、国産クラウドコンピューティングインフラを作るように政府や政治家にけしかけるでしょう。そうなると戦艦大和のように高コストで時代遅れの官製クラウドコンピューティングインフラができてしまいます。
クラウドコンピューティングでは、戦艦大和の建造のような事態だけは避けたいです。
ところで、クラウドコンピューティングが普及すると情報システムは一変してしまいます。しかし、クラウドコンピューティングに想定したインフラ管理責任や情報漏洩などに対する法的・社会的な整備が進んでいないのが現状であり、なんとかしたいところです。
先日、某ITゼネコンの幹部と話したのですが、日の丸検索エンジンは末期症状ですね。さすがの彼も「経産省の担当者が代わって、何をやってるのかわからなくなった。ただ、おつきあいしてればいくらかはもらえるので、このごろは”標準化要員”を出している」と言っていました。標準化要員というのは、現場で使えなくなった年配のエンジニアを他社との「**委員会」に出すもので、協調性は高いが決定権がないので、協議が果てしなく続きます。
クラウド・コンピューティングについては「当社には向いてない」と言ってました。日本のメーカーは「すり合わせ」による高品質(高価格)が売り物なので、クラウドのようなbest effort的な発想は受け付けないようです。そのうちインドのデータセンターあたりが日本からアウトソーシングを請け負うようになるんじゃないですかね。この前の戦争みたいに、いったん壊滅しないとわからないと思います。
日の丸検索エンジンは最初から視点がずれていますし、参加企業も割あわない仕事を回されないようにすることしか関心がないようですね(業界ネタでは「情報大後悔」と呼んでいます)。「**委員会」とは旧通産省の失敗プロジェクトでも、シグマプロジェクトなみのマネージメントですね。
クラウド・コンピューティングは、日本は地震があることに加えて、何よりも電気代が高いので、日本国内にサーバ設備をおいても、海外のクラウドコンピューティングインフラに勝てないでしょう。
また、海外インフラは海運用コンテナーに100台ぐらいのサーバをいれて、サーバが壊れたらコンテナーごと入れ替えるようなベストエフォート的なシステム管理を想定しているので、ITゼネコンの経営者に絶対に理解できない世界でしょう。
ただ、クラウド・コンピューティングになってしまうと、付加価値の高いサービスや電子商取引はすべて海外のサーバで行われることになり、日本の情報システムは空っぽ、つまり日本全体がダム端末化してしまいます。
日本の経営者や官僚にもこれぐらいの常識が共有されると、少しは状況が改善されるのではないでしょうか。冷房費を節約できる北海道にとっては、ビジネスチャンスかもしれない。
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