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定額給付金を「マイナス金利」にする方法

Marginal Revolutionにおもしろい提案が出ている。すべての納税者にデビット・カード口座をつくらせ、そこに政府が一定の金額を振り込む。このデビット・カードは一定の期限が来たら無効になる、というしくみだ。これはスタンプつき貨幣に似たマイナス金利だが、税務署が銀行振り込みで電子的に行なえるので、役所で金券を渡す方式よりはるかに効率的で、安全性も高い。日本の定額給付金も、これでやってみてはどうか。

効果をもたせるには2兆円ぐらいではだめで、来年度予算で「4月から消費税を5%引き上げ、来年度の税収増10兆円を期限つきデビット・カードで全額還付する」と決めればよい。所得制限なんて必要ない。この政策の主要な効果は、人々の期待に影響を与えることだからである。効果は国会で決まった段階でただちに生まれ、まず4月から上がる消費税を避けるための駆け込み需要が発生する(これは1997年に実験ずみ)。しかし4月以降はその反動で消費が落ち込むので、デビット・カードは4月以降(たとえば)期限を1年として還付すればよい。

こういうデビット口座をつくっておけば、今後も不況のときはこの口座に税を還付すれば確実な効果が見込め、財政収支にも中立だ。マイナス金利は、フィッシャーやケインズをはじめ、多くの経済学者が賛同している政策だから、日本政府が実験すれば歴史に残るかもしれない。少なくとも、迷走して麻生政権の「マイナス選挙対策」になっている今の定額給付金よりましだろう。
コメント ( 18 ) | Trackback ( 7 )
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コメント
 
 
 
Unknown (pk-uzawanian)
2008-11-18 22:37:03
賛成します。
 
 
 
Known (桜ん坊)
2008-11-18 23:35:06
面白いじゃないですか。
ぜひやってみましょうよ。
 
 
 
補足 (池田信夫)
2008-11-19 00:18:25
5000万世帯にカードを配るのは大変だけど、要するに「期限つき貨幣」をつくればいいのだから、実装の方法はいろいろ考えられます。カードも必須ではなく、税金を還付する口座はすべての納税者がもっているので、その中に「負の税金」の口座を設け、期間が来たら政府が召し上げてもいい。

ただし、これはあくまでも「短期」の政策です。これによって需給ギャップは一時的に埋まるが、新しい投資は生まれない。最終的には、生産性を上げないと、持続的な成長は実現できません。
 
 
 
高額所得者の所得税強化と「消費控除」はいかがでしょう (T-norf/起業ポルノ)
2008-11-19 00:43:05
これは個人個人の消費額全体から見たら小さな金額の給付金では、普段の消費の代替の支払い手段として利用されてしまうだけなので、このアプローチは、上手くいかないと思います。

むしろ、高額所得者の所得税を高くするとともに、一方でこのデビットカード経由での消費の記録を取って、消費金額に応じた「消費控除」をするようにしてはいかがでしょう。

(たくさん消費をした金持ちは税金が安くなる。稼ぐだけで溜め込む金持ちからは、高率の税金を取る。控除を受けたい人は、このデビット口座に入金してから相応に使えば、今と同じ税率になる)

この政策の抜け穴は、擬似的な消費をして脱税をするところにあると思いますので、循環架空消費(?)を上手く取り締まったり、運用資産購入を消費に分類しないようにする必要があると思いますが、いかがでしょう。

個人的には、高額所得者の超過勤務(休暇未消化)にペナルティー的な法人税を課せば、金持ちの余暇が増えて消費が増え、ワークシェア的な効果がでて失業率低下して、一石二鳥だと思うんですけど、実装がなかなか難しそうですね。
 
 
 
管理はどうすんの? (ganesha)
2008-11-19 04:46:09
作ったデビット口座の管理はどうするのかしら?
毎年、新たに納税義務者は増えるし、死亡者も出ますよね?
あ、今回の定額給付金のように家族1人あたりで給付したり、高齢者・15歳以下を加算しようとするなら、戸籍と連動させるのか?(出生届や死亡届で管理?無理っぽいな)

年金の管理すらまともに出来なかった政府に、この管理を期待するのはムリなのでは、と。
もしちゃんと管理できていたのなら、年金番号をベースに制度を構築できたんでしょうけど。

あと、非社会勢力の資金源になりそう。
(社会的弱者のカードを暴力的に集めて…)
 
 
 
喜ぶのは… (へなちょこエンジニア)
2008-11-19 07:55:19
2年目以降が増税となるので、財務省のみ。
トホホ。
 
 
 
まとめてお答え (池田信夫)
2008-11-19 09:03:12
消費額の5%というのは、少額ではありません。1997年には、2%の増税による駆け込み需要でGDPが年率4%も上がった。

口座は普通の税金の還付と同様に管理すればよい。納税は毎年発生するので、そのとき変更できます。ついでに納税者番号を振って管理すれば完璧ですけどね。

2年目以降は増税になるけど、必要なら景気が回復するまで還付を続ければいいのです。財政には中立だから、いくらやっても大丈夫。法人税を減税して消費税を増税すれば、もっと効果が大きくなります。

麻生政権の定額給付金が間違っているのは、それを貯蓄させないために物理的なクーポンを使うことです。そんな原始的な手段を使わなくても、貨幣の退蔵コストを作り出すことはできる。この案に問題があるとしても、政府のやろうとしているクーポンよりましです。
 
 
 
究極は少消費 (Arakiss)
2008-11-19 10:02:39
結局これも一種の先送りな現況消費社会の延命対処療法に過ぎないのではなかろうか...
大勢指向(まだ芽生えですが)はエネルギーを含め「少消費」であるし、そうあるべきでしょう。経済萎縮は悪いことばかりではない、もしかすると来るべき良き社会への過渡期なのかもしらん。児孫の為にも...みんなが生き延びる道でもある。
 
 
 
Unknown (フロレスタン)
2008-11-19 10:11:28
定額給付は自治体に丸投げなんだから、丸投げされた自治体は商工団体やNPOなんかと組んで、地域通貨に振り替えたらいい。消費が域外流出しなくてすむ。これをマイナス金利で運営する。デビットの口座管理は、能力があればの話だけれど地銀や信用金庫などのローカルバンクに委ねたらどうなのでしょうね。

思いつきレベルで恐縮ですが…
 
 
 
刺激的です (senna-pro)
2008-11-19 10:14:38
>高額所得者の所得税強化と「消費控除」

いろいろ問題もありそうですが、刺激的な案ですね。
最近の、ケインズ→フリードマン→ケインズ、の発想の貧困さにげんなりしてたんで、「新しい話」が聞けるのは楽しいです。
 
 
 
デビットカード機能付きID Card (bobby)
2008-11-19 15:37:21
デビッドカードはICカード式にして、コンビニやスーパーで現金あるいはマスターカードとして使えるようにしてはどうでしょうか。逆に、口座のお金は他の銀行へ転送できなくして、貯蓄に回せないようにする。
カードの発行は、ゆうちょ銀行にやらせたら良いと思います。田舎へ行くほど、ゆうちょ銀行は消費者にとって使いやすい銀行です。
それから振り込むお金は、12ヶ月に分割して、毎月定額振り込むという考え方もあると思います。一度に数万円もらうより、毎月数千円もらう方が、思い切りよく使えるような気がします。
当月振り込んだお金の有効期限を3ヶ月くらいに設定して、早く使わせるようにします。
 
 
 
とうとうスタンプつき貨幣のお話がでましたね。 (畑中)
2008-11-19 16:02:25
はじめまして。
今回のお話にとうとうスタンプつき貨幣のお話が取り上げられたとしみじみしました。

2000年にNHKで「エンデの遺言 根源からお金に問うこと」と題して減価するお金の番組がありました。
今再放送しても遜色ないのではないかと感じますがいかがでしょうか?
私はこのお話に感動しました。
この仕組みや理論がもっと具体的に検討されてもいいのではないかと思っております。

個人的にデビットカードは田舎では使い勝手が悪いので基本的に印刷物で十分だと思います。
 
 
 
いつものイナゴです (田中健)
2008-11-19 16:07:33
もっと簡単な方法は「やっぱりやめる」だと思いますが、今さらそれはできないんでしょうね
2兆円をバラ撒くのにかかる経費が2兆円を越えない事を祈るのみです

とは言えクーポン券なんてくだらない方法でやられたら全国的に大混乱するのは必至なのでやめていただくとして
やはりなるべく目減りしない方法は電子マネーでの配布でしょう
でも今度は具体的にどの電子マネーを使うかでモメそうですね

こんなくだらない議論をするために国費で議員に給料を支払っているのだという事実がもう腹立たしいですね
ああくだらない
 
 
 
給金と変わらないのでは? (fukucchi)
2008-11-20 10:51:22
確かに政府が振込むお金を期限付にすればそれは消費に回るでしょうが、人々がその分給料からの消費を減らしてしまえば、給付金の場合と同様効果は限定的ではないでしょうか。マイナス金利と同等の効果を得るにはすべての収入について使用期限を設ける必要があると思いますが、これは実際には無理でしょう。
 
 
 
まとめてお答え (池田信夫)
2008-11-20 12:39:42
同様のコメントが多いので答えておきますが、「期限つき税還付」が消費に回った分、普通の現金が貯蓄に回されるというのは、今回の分に限ってはその通り。ただ資産全体からみれば、一部が1年後にゼロになる分だけ金利が下がるので、現金保有は減ります。将来は、たとえば年金を期限つき通貨で支給するとか、定期預金はすべて期限が来たらゼロにするとか、もっと広げることも可能です。政治的には困難でしょうが。

いずれにせよ、マイナス金利を可能にすることで金融政策の自由度は高まるので、いろんな実装の方法があると思います。金融工学にくわしい人が考えてくれませんかね。
 
 
 
ポイントカード (Unknown)
2008-11-20 21:31:39
はっきり書いている人が居ないようなので書きますが、小売店が作るポイントカードのようなものですよね。普通に考えれば自国通貨を(一部)否定する狂気の沙汰ですが、現金が消えつつある現状から見ると大した違いはないのかもしれません。
 
 
 
エンデの遺言 (haruomi)
2008-11-21 23:37:16
ミヒャエル・エンデが逝去間際に提唱していた「年をとるお金」ですね。
暗示的な童話の作者として有名なエンデが、この世界の限界と未来を真剣に考えた末にゲゼルの理論にたどり着き、現実に何事かをなそうとしていたという事実は童話の作品以上に驚きです。

これまでも地域通貨のレベルでは何度も実験されているようですが、日本ぐらいのサイズで(「年をとらないお金」への換金が横行しない程度の)治安と電子技術に支えられて遂行されたとなれば、それなりに意味のあることではないでしょうか。
短期的経済対策として新しいモデルになる、というのは言いすぎでしょうか。


 
 
 
定期的に減価する貨幣の実験 (島崎丈太)
2008-12-28 12:16:45
定額給付金を消費の起爆剤にする、という意味で、毎月若干ずつ減価する「複数回流通する金券」を給付金で想定されている現金の代わりに発行してはどうか、 http://www.kanshin.com/keyword/1630738 というようなアイディアを考えてみたのですが、如何なものでしょうか。 電子的な口座ですと、飽くまで一回限りの減価を避ける為の消費で終わりそうですが、紙幣に近いデザインで個人個人が毎月「期限が来ると自分が損するから早くこれを遣ってしまおう」と思うことで、「ヴェルグルの奇跡」のようなものが国内で再現出来ないものだろうかと愚考するものです。 技術的には様々制約や条件を付加する必要があると思いますが、金融工学的には通貨の流通速度をグンと上げることで国内の景気を押し上げる一助になると思うのですが如何でしょう。
 
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