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2009-01-07 天皇陛下即位20年の日の毎日社説と産経社説を比較検証(おまけ付き

[]天皇陛下即位20年の日の毎日社説と産経社説を比較検証(おまけ付き) 14:54 天皇陛下即位20年の日の毎日社説と産経社説を比較検証(おまけ付き) - 木走日記 を含むブックマーク

 1989年1月7日、当時の小渕恵三官房長官が記者会見で「平成」と大きく墨で書いた紙を掲げるテレビ映像が目に焼き付いている読者も多いことでしょう。

 天皇陛下が即位して20年を迎えました。

 で、7日付けの社説で毎日と産経がそれぞれ天皇陛下即位20年を取り上げています。

【毎日社説】天皇陛下即位20年 「国民とともに」を実践した

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090107k0000m070137000c.html

【産経社説】天皇ご即位20年 陛下の願いは国民の結束

http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/090107/imp0901070237000-n1.htm

 朝日、読売、日経の「あらたにすトリオ」(苦笑)は社説では無視でありますか。

 それはともかく【毎日社説】と【産経社説】ですが、読み比べて見るとそれぞれの社の皇室へのスタンスとかが見えてきてとても興味深いです。

 毎日社説から。

【毎日社説】天皇陛下即位20年 「国民とともに」を実践した 

 天皇陛下は7日、即位20年を迎えた。1989年のこの日からの「平成の皇室」の歩みに並行して日本社会は大きく変化し、世界の構造も転換した。その中で陛下は、憲法に従い国民とともにある「象徴天皇」像を誠実に実践し、そのあり方は定着したといえよう。

 即位の礼(90年)に際し私たちは<昭和天皇も新憲法下では「象徴」であったことは当然だが、最初から「象徴」として即位したのは、天皇陛下が初めてなのだ。その意味では、憲法の予定した象徴天皇制が本格的に機能を始めたことになる>とその意義を挙げた。

 陛下は既に即位直後に「皆さんとともに日本国憲法を守り、これに従って責務を果たすことを誓い、国運の一層の進展と世界の平和、人類福祉の増進を切に希望してやみません」と述べており、その意思や決意は固かったとみられる。皇后さまとともに実践した。

 天皇として初めての全都道府県訪問は2003年に達成し、さまざまな場で直接国民に接した。阪神大震災や新潟県中越地震など大災害地でひざを突き合わせるように被災者に語りかけ、耳を傾けた。訪問が復旧作業などの支障とならないよう配慮も細やかだった。皇太子時代から友好親善の外国訪問を重ね、即位後では30カ国を超えた。

 そして、戦争の傷跡を深く残す地への「慰霊の旅」では、沖縄など国内のみならず「玉砕の島」サイパン島にも赴いた。92年親善訪問した中国では「中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました」と戦争における日本の加害の歴史に言及した。

 こうして陛下は「国民統合の象徴」として具体的になすべきことを自らに課すように行ってきた。それは現在・将来だけでなく、戦争という過去にも向き合うようであり、その歴史から目をそらさない真摯(しんし)さが内外の人々の心をとらえているともいえよう。

 一方、健康が心配だ。

 75歳の陛下は03年に前立腺がんの手術を受け、昨年末は不整脈、胃の炎症などで体調異変があった。公務多忙のほか、羽毛田信吾宮内庁長官は「皇統(皇位継承)問題など」で心労があったとの見方を示した。

 これも長い懸案だ。男系男子の継承に限る現行皇室典範のままでは、将来皇位継承資格者を欠く事態さえ憂慮される。05年、首相の私的諮問を受けた有識者会議は、継承安定のため女性・女系天皇を容認する意見をまとめたが、翌年、秋篠宮ご夫妻に悠仁さまが誕生し、改正への動きは事実上凍結されてしまった。

 しかし、それは問題の先送りで、将来にわたっての懸念は未解決のままだ。

 この節目に、負担をかける公務の軽減や簡素化とともに、皇位継承問題についてもオープンで多様な論議を広げたい。

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090107k0000m070137000c.html

 「陛下は、憲法に従い国民とともにある「象徴天皇」像を誠実に実践し、そのあり方は定着した」とまず「国民とともに」を実践してきた天皇陛下の在り方を肯定評価した上で、「阪神大震災や新潟県中越地震など大災害地でひざを突き合わせるように被災者に語りかけ、耳を傾け」たり、「「慰霊の旅」では、沖縄など国内のみならず「玉砕の島」サイパン島にも赴いた」り、「中国では「中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました」と戦争における日本の加害の歴史に言及し」たりしてきたその足跡をたどっています。

 そして「一方、健康が心配だ」とし、「公務多忙のほか、羽毛田信吾宮内庁長官は「皇統(皇位継承)問題など」で心労があったとの見方を示した」うえで、「皇位継承問題についてもオープンで多様な論議を広げたい」と、論を結んでいます。

 ・・・

 で、産経社説から。

【主張】天皇ご即位20年 陛下の願いは国民の結束

 天皇陛下が即位されてから20年を迎えた。陛下は新年のご感想で世界的な金融危機に触れ、「国民の英知を結集し、人々の絆(きずな)を大切にしてお互いに助け合うことによって、この困難を乗り越えることを願っています」と述べられた。常に国民を思う陛下のお気持ちが察せられる。

 この20年間、陛下は国家国民のために祈り続けてこられた。

 阪神大震災(平成7年)や新潟県中越地震(16年)など大災害のたびに、皇后陛下とともに現地に赴かれた。両陛下は被災者の前にひざをつかれ、直接お声をかけて励まされた。これを「平成流」と見る人もいるが、昭和天皇が戦後のご巡幸(じゅんこう)で示されたお姿を徹底されているように思われる。

 また、戦後50年の平成7年夏、長崎、広島、沖縄、東京都慰霊堂の4カ所で原爆や地上戦、大空襲による犠牲者を慰霊された。戦後60年の17年には、激戦地のサイパン島を訪れ、多くの在留邦人や日本兵が命を絶った「バンザイクリフ」などで、皇后さまとともに深々と頭を下げられた。

 陛下は昨年12月23日の75歳の誕生日に際してのご感想でも、「働きたい人々が働く機会を持ち得ないという事態に心が痛みます」と述べ、国民の英知の結集を願われた。急速な景気悪化を克服するためには、国民が力を合わせることも大切である。

 天皇ご在位20年の間、日本が着実に自立への道を歩んだことも忘れてはならない。平成に入って、自衛隊がカンボジアPKOやイラク復興支援など国際貢献の舞台で活躍する一方、改正教育基本法憲法改正に向けた国民投票法などの重要法案が成立した。この流れも大事にしたい。

 陛下は暮れに体調を崩され、ご健康が心配されたが、2日の新年一般参賀で元気な姿をお見せになり、国民を安心させられた。

 陛下は土曜、日曜もないほど多忙な日々を送られている。憲法に定められた国事行為をはじめとするさまざまなご公務のほか、年間約30件の宮中祭祀(さいし)を昭和天皇にならい、厳格に心を込めて執り行われている。陛下のご健康のため、宮内庁にご公務の負担軽減の工夫を改めて求めたい。

 また、陛下のご心労の大きな原因は皇位継承問題である。天皇ご即位20年の節目の年に、この問題を白紙から再検討することを麻生内閣に重ねて要望したい。

http://sankei.jp.msn.com/culture/imperial/090107/imp0901070237000-n1.htm

 「この20年間、陛下は国家国民のために祈り続けてこられた」とまず「陛下の願いは国民の結束」であるとした上で、「阪神大震災(平成7年)や新潟県中越地震(16年)など大災害のたびに、皇后陛下とともに現地に赴かれた。両陛下は被災者の前にひざをつかれ、直接お声をかけて励まされた」たり、「平成7年夏、長崎、広島、沖縄、東京都慰霊堂の4カ所で原爆や地上戦、大空襲による犠牲者を慰霊され」り、「17年には、激戦地のサイパン島を訪れ、多くの在留邦人や日本兵が命を絶った「バンザイクリフ」などで、皇后さまとともに深々と頭を下げられ」たりしてきたその足跡をたどっています。

 そして「暮れに体調を崩され、ご健康が心配された」とし、「陛下のご心労の大きな原因は皇位継承問題である」としたうえで、「この問題を白紙から再検討することを麻生内閣に重ねて要望したい」と、論を結んでいます。

 ・・・

 えーっと、社説の冒頭の入り方から結語まで、毎日と産経の論説の基本構成がウリなんですが(苦笑)どうでしょう。

 もっとも基本構成は同じながら文体も含めて細部ではそれぞれの社の皇室へのスタンスの差異とかが見受けられて興味深いですね。

 まず、毎日社説ではいっさい天皇陛下に対する敬語が登場してきません(爆

 それに対し、産経社説は社説タイトルをはじめ、「ご即位」、「お気持ち」、「お声」、「お姿」、「ご感想」、「ご在位」、「ご健康」、「ご公務」、「ご心労」と、くどい(失礼)ほどの敬語オンパレードであります。

 まあ、以前、当ブログで天皇陛下に対する敬語不使用報道を徹底検証したことがありますが、朝日と毎日は皇室報道で一切敬語を使用しないのは変わってはいないようですね。

2006-06-10 天皇陛下に対する敬語不使用報道を徹底検証

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20060610

 それはともかく、敬語を使うか使わないかという文体の差以外で、大きな違いは、戦争の傷跡を深く残す地への「慰霊の旅」に対する意味づけです。

 毎日社説は、あえて「中国では「中国国民に対し多大の苦難を与えた不幸な一時期がありました」と戦争における日本の加害の歴史に言及」と中国訪問を含めて言及した上で、

 こうして陛下は「国民統合の象徴」として具体的になすべきことを自らに課すように行ってきた。それは現在・将来だけでなく、戦争という過去にも向き合うようであり、その歴史から目をそらさない真摯(しんし)さが内外の人々の心をとらえているともいえよう。

 つまり、天皇陛下の「慰霊の旅」は、「戦争という過去にも向き合」い「歴史から目をそらさない真摯(しんし)さ」を「内外の人々の心」をとらえている、国際的外交術として評価しています。

 これに対し、産経社説では「長崎、広島、沖縄、東京都慰霊堂の4カ所で原爆や地上戦、大空襲による犠牲者を慰霊」とか、「激戦地のサイパン島を訪れ、多くの在留邦人や日本兵が命を絶った「バンザイクリフ」などで、皇后さまとともに深々と頭を下げられた」との記述に留まり、あくまでも日本国民に対する「慰霊の旅」であったことを印象付けています。

 そして産経社説は、「ご在位20年の間、日本が着実に自立への道を歩んだことも忘れてはならない」とし、

 天皇ご在位20年の間、日本が着実に自立への道を歩んだことも忘れてはならない。平成に入って、自衛隊がカンボジアPKOやイラク復興支援など国際貢献の舞台で活躍する一方、改正教育基本法や憲法改正に向けた国民投票法などの重要法案が成立した。この流れも大事にしたい。

 「自衛隊がカンボジアPKOやイラク復興支援など国際貢献の舞台で活躍」するようになったことや「改正教育基本法や憲法改正に向けた国民投票法などの重要法案が成立」したことを取り上げています。

 あえて天皇陛下の中国歴訪と「戦争における日本の加害の歴史に言及」には触れず、「天皇ご在位20年の間、日本が着実に自立への道を歩んだこと」を強調しています。

 それぞれ毎日と産経のスタンスが見受けられて興味深いのです。

 ・・・



●おまけ:ついでにコラムも比較検証

 日本の大新聞はそれぞれ朝刊一面に名物コラムを載せています。

 で、ときにそれぞれの社の論調が、社説などでは堅苦しく表現している内容がむき出しのわかりやすい文章で表出していることがままあります。

 これは各紙の名物コラムが論説委員OBなどが担当していることからある意味で当然でありましょう。

 で、7日付けの毎日コラムの【余禄】と産経コラムの【産経抄】でありますが、それぞれの社説を補強するように天皇陛下即位20年を取り上げています。

 毎日【余禄】の結語から。

▲そして世界不況に直面した今日である。だが積み重なった過去を一つ一つ思い起こせば、苦境を乗り切り、平成を願う心の支えも案外近くに見つかろう。天皇陛下のお歌だ。「戦(いくさ)なき世を歩みきて思ひ出づかの難(かた)き日を生きし人々」

http://mainichi.jp/select/opinion/yoroku/

 天皇陛下の反戦の思いを「「戦(いくさ)なき・・・」のお歌を結びに持ってくることで強調していますね。

 で、【産経抄】の結語。

▼20年で世界情勢は激変したが、日本が攻撃されれば、米国や国連がウルトラマンのごとく助けてくれる、と信じ切っている能天気な国会議員のなんと多いことか。きのうの衆院代表質問も退屈で退屈で、あくびが出た。これでは、高齢にもかかわらず、国民のため日夜尽くされている天皇陛下のご心労が消えることは当分あるまい。

http://sankei.jp.msn.com/life/trend/090107/trd0901070236001-n1.htm

 ぷう、「日本が攻撃されれば、米国や国連がウルトラマンのごとく助けてくれる、と信じ切っている能天気な国会議員のなんと多いことか」と嘆かれております。

 なるほど、「これでは、高齢にもかかわらず、国民のため日夜尽くされている天皇陛下のご心労が消えることは当分あるまい」という結びです。

 しかし、ウルトラマンって(苦笑)どうでしょう。

 ・・・



●おまけのおまけ:一方そのころ朝日の天声人語は・・・

 一方そのころ、朝日新聞の名物コラム【天声人語】なのでありますが、思わず失笑してしまったので全文ご紹介。

 しばらく前の週刊朝日で脚本家の内館牧子さんが「ポニョ」について書いていた。「崖(がけ)の上のポニョ」ではなく、「肘(ひじ)の上のポニョ」の話だ。二の腕に余分な肉がついてポニョポニョしている。これは多くの中年女性が頭を痛める問題なのだという▼ほかにも「腰の上のポニョ」やら「尻の下のポニョ」やら、生息場所は体中にあるそうだ。だから油断は禁物らしいが、それは女性に限らない。正月休みを終えて、わが身のポニョの気になる人が少なからずいるのではないか▼最近は「正月メタボ」などと言うそうだ。体を動かさず、もっぱら口を活躍させた結果である。この年末年始は曜日の巡りで休みが長く、不況で「巣ごもり」が流行(はや)った。ポニョの「作況指数」は、例年を上回る豊作になりそうである▼人の肥満は農耕とともに生じ始めたといい、糖尿病との付き合いも古くさかのぼる。時をへて、今や「国民病」の様相だ。暮れに厚生労働省が、患者とその予備群は推計2210万人にのぼると公表した。40代以上だと3人に1人が該当するそうだ▼運動不足や偏食、過食が大きな要因らしい。症状もなく忍び寄って体をむしばむ生活習慣病である。正月についた「食っちゃ寝」の習慣と無駄な肉は、早めの退治がお勧めだ▼天の配剤というべきか、きょうは七草粥(ななくさがゆ)で無病息災を願う日。胃袋を休め、質素に食べて気を引き締め直すのもいい。七草をとんとん刻めば、音が邪気を払ってくれるという。ズボンやスカートの胴が楽になった気がしたら、それは儲(もう)けものである。

http://www.asahi.com/paper/column.html

 天皇陛下のテの字もありませんが、それにしても「尻の下のポニョ」って(苦笑)

 ・・・

 いいんですよネ、朝日はこれでいいんです。

 いろんな論説があって、何を社説で取り上げるか、コラムで取り上げるか、それも含めてこれぞ言論の自由というものであります。

 全メディアが同じ論調になるほうが恐ろしいというものであります。

 それにしても「尻の下のポニョ」って(苦笑)



(木走まさみず)

トラックバック - http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20090107

2009-01-06 『派遣切りのジレンマ』

[]『派遣切りのジレンマ』 16:17 『派遣切りのジレンマ』 - 木走日記 を含むブックマーク



 『囚人のジレンマ』は、ゲーム理論で登場する代表的な問題でありますネ。

 ちょっとサワリを。

 今ここに、共犯で犯罪をおこし捕まった二人の囚人がいたとします。

 決定的な証拠がないため警官は囚人達の自白が必要でした。

 そこで警官は、囚人達を別々の牢屋に入れ、互いに意思の疎通ができないようにした上で、それぞれ個別に同じ条件の取引をします。

 警官の出した条件は次の通りです。

 条件1:お前達の犯した罪は懲役20年に値するが、残念ながら決定的な証拠がない。そこで2人とも黙秘したならば1年後に釈放されることになる。

 条件2:もしお前が自白し共犯者が黙秘ならば、お前は無罪放免、共犯者が懲役20年となる。

 条件3:逆に共犯者だけ自白しお前が黙秘ならば、お前は懲役20年、共犯者は無罪放免だ。

 条件4:お前も共犯者も両方自白したら、仲良く懲役10年づつだ。

 二人にとって最適の解は、当たり前ですが互いに協調して黙秘し、二人そろって一年後に釈放されることですが、彼らが互いに独房に入れられていて意志の疎通が図れないことから彼らは相手の取る行動を推測して自らの行動を決めるしか方法がありません。

 そこで囚人Aの立場で論理的に考えてみると興味深いことに、共犯者の囚人Bが黙秘しようが裏切って自白しようが、彼・囚人Aは共犯者を裏切ることのほうが得策であると判断してしまいます。

 具体的にはこうです。

<囚人Aの判断>

 もし囚人Bが黙秘するならば、俺が協調して黙秘したら1年後に釈放、俺が裏切って自白したら懲役20年の罪はすべて相手がかぶり俺は無罪放免だ、これは裏切って自白したほうが得策だ。

 もし囚人Bが自白するならば、俺が黙秘したら俺だけ懲役20年でヤツは無罪放免だ、俺も裏切って自白したら、二人そろって懲役10年だ、これも裏切って自白したほうが得策だ。

 囚人Bも論理的に同じ判断をします。

 こうして囚人達は、互いに協調し黙秘したほうが得であるにもかかわらず、互いに裏切りあって10年の刑を受ける事になります。

 警官は見事二人の自白を得ることができました。

 合理的な各個人が自分にとって「最適な選択」(裏切り)をすることと、全体として「最適な選択」(協調)をすることが同時に達成できないことから、これをゲーム理論では『囚人のジレンマ』と呼んでいるわけです。

 実に興味深いことですが、個別のプレイヤーを支配している戦略が導く最適解は、必ずしも全体の利益には合致しないというこの問題は、実際の政治・経済においても「行き過ぎた値下げ競争」など多くの具体的事例をあげることができるのです。

 ・・・

 で、派遣切りの問題。

 大手16社で33兆を超える内部留保を蓄えたまま、投資家や株主への配当は据え置いて、「派遣切り」などの雇用調整を急ぐ大企業なのでありますが、彼らはまさにある種の『囚人のジレンマ』問題を露呈していると思います。

 『派遣切りのジレンマ』とでも命名しましょうか。

 ゲームの条件は『囚人のジレンマ』とそっくりです。

 全社が内部留保を切り崩しつつ雇用調整を控えれば、全体的な財務体質は弱まるが派遣切りの問題は沈静化する。

 もし自社が派遣切りしライバルが控えれば、自社の財務体質は強化されライバルは弱体化する。

 逆にライバルだけ派遣切りし自社が控えれば、自社だけ財務体質が弱体化しライバルは強化される。

 自社もライバルも両方派遣切りしたら、全体的に財務体質は強化される。

 このような条件下では、個別のプレイヤーを支配している戦略が導く最適解は、当然ながら派遣を切って雇用調整をすることになります。

<大企業Aの判断>

 もしライバルが派遣切りを控えれば、ウチも控えれば全体的な財務体質は弱まる、ウチだけ派遣切りしたら財務体質が弱まるのはライバルだけでウチは強化される、ウチが有利だ、これは派遣切りしたほうが得策だ。

 もしライバルが派遣切りしたならば、ウチが控えればウチだけ財務体質が弱まる、ウチも派遣切りしたら全体的に財務体質は強化される、ウチが不利になることはない、これも派遣切りしたほうが得策だ。

 彼ら大企業が、株主や投資家の顔色ばかり見ている限り、つまり自己の財務体質の強化だけを行動基準にしているかぎり、労働分配率を高めるような振る舞いは決して選択はしないでしょう。

 そして、合理的な各企業が自分にとって「最適な選択」(派遣切り)をすることは、社会全体として「最適な選択」(雇用安定)をすることとは同時に達成できないのです。

 これはまさに社会的責任を有しているはずの大企業の『派遣切りのジレンマ』と呼べましょう。



(木走まさみず)



<関連テキスト>

■2008-12-25 大企業は蓄えてる「内部留保」の一割でいいから社会還元してみては?

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20081225

■2008-11-03 「筋肉質」になった企業が大量の非正社員からクビを切る地獄絵が始まる

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20081103

■2007-09-28 不思議な経済大国ニッポン

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20070928

■2005-10-21 世にも不思議な「靖国のジレンマ」〜ゲーム理論からの一考察

http://d.hatena.ne.jp/kibashiri/20051021

ト 2009/01/06 18:08 ダ・カ・ラ前に誰かが言ってたけど、これこそ国内企業だけの談合や規制だけではどうにもならない事じゃない?
「雇用調整が駄目というなら、海外に移せる工場はもっと前倒しして移す」って言い出す企業は多いと思うよ。
まぁ実際は既にそう簡単に引っ越せない企業だけが残ってるんだろうけどさ。
個々の企業についてはその企業に理念や文化に任せるしかないと思うし、先ずはデスマーチやブラック企業は口コミや情報交換で周知するようにして自衛するのがいいんジャマイカ?

chengguangchengguang 2009/01/07 01:09 本年も宜しくお願い申し上げます。
『囚人のジレンマ』というのは、合理性のパラドックスとか合成の誤謬と呼ばれているものと同じもののように見えます。
望ましいのは仰る通りなのですが、グローバル化している企業は、ジレンマを感じるよりも先に、この機会によりスリム(体脂肪率を更に高める)になることを志向していると思います。世界のマーケットが縮小してきているからです。これにつれ、国内企業も生き残りを掛けスリム化に入ると思います。
従って、雇用機会の増大を図るには、既存の事業ではなく、新たな事業創出が必要不可欠になるかと思います。この新たな事業創出のためにも、各業種のさらなる規制緩和が必要かもしれません。
然し、昨今の『何でも資格』制度は廃止すべきではないかと思います。個人の利益追求が、権力機構を強権化させ、結果として自らの首を絞めつつあるからです。詰り、合理性のパラドックスが此の資格制度に内包されているからです。
日本人は資格の有無を見て安心を得る一方で、自己判断を放棄してしまいました。しかしながら、此の資格制度の恩恵を一番満喫しているのは、一般人ではなく、省庁の機構改革により次々に出来つつある独立行政法人という組織です。
資格に関する法律を関係省庁が作成し、許認可の権限、解説書の発行、講習会開催と講習会テキストの発行、資格試験の実施を独立行政法人の夫々が分割して独占することで、業界の関係団体(財団や社団法人)を服従させ、権力を拡大させています。

dokendoken 2009/01/07 12:31 木走りさまお久しゅう御座います。

製造業にまで派遣を認める派遣法の改悪というとんでもない事を何故許したのか!
と私も思うものの、バブル後の出口の見えない不況の中、産業の空洞化を如何に防いで日本経済を立て直すかと考えた中での窮余の策の一つで、それなりに成果のあった政策だったのかという気もします。
そして株主の圧力が強くなった今、工場止めてやる事が無いから草むしりさせるわけにも行かないので首を切るという事情も判る。
しかし、そもそも食うや食わずの賃金で人をこき使うという事が問題だったわけで、最低でも300万程度の年収を貰える様にすべきだったと思います。

それにしても一昔前なら失業者が増えたら公共事業で人を吸収しようという議論が出てくるはずなんですが、全く出てこない事が寂しゅう御座います。
無駄に成らない箱モノだってあると思うのですが。例えば太陽光発電所造るとか。建設費取り戻すのに50年掛かるかもしれないけど、無駄な道路つくるよりは収入がある分マシです。建設事業は裾野が広く幅広く社会に行きますよ。全国民にお金配るのよりはマシな政策だと思いますが。10兆円くらいババーンと・・・無理だろうなぁ。

2009-01-04 不況の中倒産するまで雇用を維持し続ける中小零細企業の矜持

[]不況の中倒産するまで雇用を維持し続ける中小零細企業の矜持 16:42 不況の中倒産するまで雇用を維持し続ける中小零細企業の矜持 - 木走日記 を含むブックマーク



 本年もどうぞよろしくお願いいたします。



●派遣社員は大変で、自営業者は大変ではないのか〜評論家の清谷信一氏のブログから

 評論家の清谷信一氏のブログから。

派遣社員は大変で、自営業者は大変ではないのか

http://kiyotani.at.webry.info/200901/article_2.html

 これはわが意をえたりと思いました。

 失礼して抜粋引用。

 自営業者の一家離散や夜逃げなど「良くある話」だからニュースバリューが無いです。それとも切られた派遣は可哀想だが、倒産した自営業者は可哀想ではないというのでしょうか。

 はたまた「資本家」は人民の敵だとでもいうのでしょうか。

 ・・・

 ・・・

 不肖・木走は、零細IT業を営みつつ、複数の企業の経営コンサルもさせていただいておりますが、折からの不況で、私のクライアントの一社が倒産に追い込まれ、その他にも資金繰りに行き詰まり経営危機に陥ってしまったクライアントのフォローアップなどで年末の31日までいろいろな雑事に追われてしまいました。

 仕事とはいえ人様の会社のコンサルをしつつ自らの会社の経営もこなさなければならないので、本来なら積み残した仕事をこなすべく正月返上で業務をしなければいけない状況なのですが、正直、今回は精神的にも疲れてしまって正月三日間は完全に休養日とさせていただきました。

 ふう。

 仕事ですから、弱音を吐くわけにはいかないのですが、独立以来、こんなにも精神的に苦痛でしかし忙しい年末は私にとっては初めてのことでした。

 ・・・



●不況の中雇用を維持し続けるのは、人が物つくりの中心である零細業においては立派な施策

 先月倒産した私のクライアントの話をご紹介しましょう。

 目の前で夫(社長)が自己破産手続きの書類にサインするのを気丈にも夫の肩に手を添えて見守る奥さんの姿、5号認定(年末の特別融資枠)の希望申請枠が審査が通らず半減され、資金繰りに窮し越年を断念、倒産を選択したこのご夫妻は、自己資産のすべてを失い、自己破産されました。

 日本の場合、信用力のない中小零細企業が資金を金融機関から借りる場合、金融機関は例外なく代表取締役個人の連帯保証を求めますから、会社が倒産や解散する場合、日本の多くの事業主は連帯保証人として財産が没収され、多くの場合それでも足らないので自己破産の道しか残されていないのです。

 ご夫妻には中学生と小学生の二人のお子さんがおられますが、企業家として立派だと思えたのは廃業の際、わずかに残っていた自己資金を全て、これから年の瀬だというのに職を失う、最後まで雇用し続けていた6人の従業員達にあてがったことでした。

 一人当たりとしてはわずかな金額ですが、愛する家族よりも、愛する従業員を優先させる、起業家としての最後のけじめなのでしょう。

 同じく家庭と会社を持つ立場として、この社長の悲壮なしかし立派な行動に私は深い感銘を覚えました。

 また職を失った6人の従業員の人々も、誰一人この社長夫妻を恨むこともなく、最後には給与は半分にまで減らされていましたが、限界まで雇用し続けたご夫妻に感謝の言葉を繰り返していました。

 大企業が振りかざす一般の経営論からすれば、不況の中、雇用を維持し続けるのは愚策となりましょうが、人が物つくりの中心である零細業においては、これは立派な施策なのであります。

 そして、これぞ、実業者としての矜持(きょうじ)というものでありましょう。

 ・・・

 ・・・



●2つの炊き出しのメディアの扱いの違い

 で、正月のTVなどでは、相変わらずくだらない娯楽番組が溢れていて見るに耐えないのですが、数少ないまじめなニュース報道では『越年派遣村』のニュースが目立ちましたですね。

 今回派遣切りにあって職を失った人々は、大きな経済のうねりの中で、本人の責とはまったく関係のない理由で首にされたという意味で、被害者としての側面を持っているのは当然でありましょう。

 彼らはつい先月まで真っ当に労働していたのです。

 『越年派遣村』のニュース報道を見つつ、しかし私はまったく別の炊き出しのことを考えておりました。

 『越年派遣村』の日比谷公園ではなく、同じ東京の上野公園では、派遣村より人数の多いおそらく500人規模のホームレス対象の炊き出しが行われています。

 上野公園の連中ときたら、『越年派遣村』に比べたら、アル中くずれやらギャンブル依存症やら大義のないナマケモノの巣窟のように見えます。

 そしてその中に自己破産の挙句夜逃げ同然でホームレスと化した元零細企業家たちやそこでまじめに働いていた人々もすくなからずいるわけです。

 彼らは一部ドキュメンタリー報道以外には注目を得ない存在で、年末年始のメディアからは一部を除き事実上無視されています。

 しかし彼らの数もこの年末で増加しつつあります。

 この不況の中、派遣切りにあい職も住も失った人々に世間の注目が集まるのは時勢であるとして、このコントラストは考えさせられました、なにか偏りのようなものを感じてしまいました、

 ・・・

 ・・・

 ・・・

 両者の違いは何でしょうか。

 そのひとつに自己責任論があると思いました。

 日比谷公園の派遣切りにあった人々には心理的に大きく同情すべき要素があるのだと思います。

 彼らは彼らの意思・責任ではなく職を失いました。

 批判されるべきは、首を切った大会社、セーフティネットの構築を無視しつつ派遣制度そのものを放置した与党・政府などであると。

 一方、日比谷公園に対し、上野公園の人々は、アル中やギャンブル依存など自己に職を失った責任を有している者が中心であり、そこにまじっている自己破産した零細企業主・自営業者達も例外ではありますまい、経済・時代のせいにすることはできないのでしょう。

 破綻により迷惑をかけた取引先や従業員にそれではあまりに無責任ですし、だいいち自分で実業してきた自負心が他人のせいにすることを許さないのでしょう。

 ただ例外としては零細業で雇用されていて会社が倒産してしまった従業員の人々でありましょう。

 彼らに自己責任論を展開するのは酷なのではあります。

 それはともかく、このようなホームレスと化した元零細企業家やその元従業員たちですが、少なからずの彼らの中には派遣切りと同様な、下請け切りや貸し渋り貸し剥がしなどの要因のせいで破綻した会社もあるだろうと想定できるにもかかわわず、彼らの声はメディアでは派遣村の住人に比し目立って取り上げられてはいません。

 清谷信一氏はそれを日本のマスメディアの偏向報道として批判しております。

 その側面は認めるものの、私はそこに別の次元を見て取りたいです。

 彼らの声がメディアで取り上げられないのは、そもそも彼らがあまり声を出していないからではないか、と思うのです。

 私はそれこそが実業者としての矜持(きょうじ)・プライドなのだと思うのです。

 別にホームレス化してしまった人だけではありません、倒産しつつも社会復帰のために一生懸命に職探しをしている元零細企業家や元零細企業従業員達は、おそらく派遣切りされた人々の数に匹敵する、もしかするとそれ以上の人数がいるかも知れません。

 彼らはおそらくメディアに取り上げづらいという側面もあるでしょうが、それ以上に、自らの不徳を責めはしても決して他者を責めない、上述の私のクライアントのような、立派な矜持を持った人々が多くいるのだと思います。

 彼らは自らの意思で沈黙を守っているのだと思います。

 ・・・

 ・・・



●政府にはぜひこの矜持を持って物つくりをしている多くの人々を支援する政策を打ち立ててほしい

 『越年派遣村』の人々にも、その他の多くの失業中の人々にも、即効性のある雇用政策が速やかに施されることを望みます。

 その上でですが、現在も必死に生き残ろうとしている全国の自営業者・中小零細企業の皆さんがたくさんおられることを強く意識したいです。

 彼らは戸板一枚下は地獄の漁師と同様の心もとない存在です。

 大資本からは景気よければ下請けとして利用され、景気が悪化すれば一方的に契約を破棄されるのが日常の、弱い立場の存在です。

 そしてこの国の政府の自営業・中小零細企業対策はタイミングもいつも後手を踏んでばかりいます。

 そんな中で多くの中小零細企業が雇用を維持しながら経営努力しています。

 彼らには、物つくりをしている実業を生業とする者としての誇りがあります。 

 矜持があります。

 そして、過去の事例を見れば、多くの新しいアイディアが、不況時に彼ら中小零細企業から芽生えてくるのであります。

   

 ・・・

 現在表出している失業者への対策を急ぐとともに、政府にはぜひこの矜持を持って物つくりをしている多くの人々を支援する政策を打ち立ててほしいです。



(木走まさみず)

wataru.Awataru.A 2009/01/04 19:15 はじめまして、地方の大学に通う学生です。
今年からはメディア企業に就職する身として、いつもこのブログで勉強させてもらってます。

>自らの不徳を責めはしても決して他者を責めない
私自身も常にこうありたいと思っています。
派遣社員であろうと正社員であろうと、自分の人生、責任は自分が負うべきだと思います。2008年はパラダイムシフトを予感させるできごとがいろいろありました。企業に従属するというよりは、個人としてのアイデンティティーを確立している、それくらいの能力が備わっている必要がある、ということ最近特に感じるようになりました。

生意気申しましたが、4月からはボコボコにモマレテこようと決心している次第でございます。
今年もブログ楽しみにしております。

愚樵愚樵 2009/01/08 14:37 木走さん、はじめまして。いつも示唆に富んだ記事を興味深く拝見させてもらっております。

実は、私のところのエントリーにて、木走さんの記事の一部を引用させていただきました。事後になりますが、どうかご承諾ください。

引用させていただいたエントリーは、「労働の権利」というタイトルでTB送らせていただいております。

2008-12-29 しつこい日経の世論調査記事のちぎり方

[]しつこい日経の世論調査記事のちぎり方 15:56 しつこい日経の世論調査記事のちぎり方 - 木走日記 を含むブックマーク



 28日22時の日経電子版記事から。

麻生内閣支持21%、不支持73% 衆院選比例投票先、民主が自民逆転

 日本経済新聞社とテレビ東京が26―28日に共同で実施した世論調査で、麻生内閣の支持率は21%となり、11月の前回調査から10ポイント低下、政権維持の危険水域とされる30%を大きく割り込んだ。不支持率は73%で11ポイント上昇した。景気・雇用悪化への対応の遅れなどが響いている。次期衆院選の投票先(比例代表)は民主党が37%で、自民党の24%を逆転した。

 不支持率が70%を超えたのは宮沢内閣末期の1993年6、7月と、森内閣末期の2000年12月、01年2月の計4回だけ。両内閣とも2回続けて70%を超えた後に退陣した。

 内閣を支持する理由(複数回答)は「自民党の内閣だから」が48%、「国際感覚がある」が22%など。支持しない理由(同)は「指導力がない」が49%、「政策が悪い」が48%、「安定感がない」が41%。(28日 22:03)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081229AT3S2800Q28122008.html

 29日07時の日経電子版記事から。

「麻生離れ」無党派も、不支持86%に拡大 日経世論調査

 日本経済新聞社の世論調査で、内閣支持率は20%割れ寸前に落ち込んだ。景気・雇用対策を巡るちぐはぐな対応や、消費税率引き上げに関する混乱により、麻生太郎首相の「指導力」や「政策」への不満が高まっている。無党派層の支持率も急速に悪化し「麻生離れ」が鮮明になっている。早期の衆院解散・総選挙を求める声が強いが、首相の目の前のハードルは高い。

 内閣支持率は自民支持層でも支持が50%、不支持が44%で接近してきた。11月末の前回調査では支持が60%、不支持が36%だった。無党派層では支持が前回の9%から5%に低下し、不支持は77%から86%に上昇した。党内基盤の強くない首相にとって「選挙の顔」としての魅力がなくなれば、ますます求心力の低下を招く悪循環が予想される。(07:00)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081229AT3S2800S28122008.html

 29日11時の日経電子版記事から。

首相に適任、小沢氏17%でトップ 麻生氏7% 日経世論調査

 「これからの首相にふさわしい人」を聞いたところ、民主党の小沢一郎代表が17%でトップとなった。麻生太郎首相は7%にとどまった。小沢氏は民主支持層の35%に加え、自民支持層の5%、無党派層の13%が支持した。次点は自民党の石原伸晃幹事長代理の11%で、自民支持層の19%、無党派層の10%が名前を挙げた。

 麻生首相と答えたのは自民支持層の19%で、石原氏と同率。無党派層では1%にとどまった。首相と並ぶ4位は小池百合子元防衛相で、公明支持層の21%が支持したが、自民支持層は9%だった。(11:25)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081229AT3S2800Y28122008.html

  29日12時の日経電子版記事から。

11年度からの消費税上げ「評価せず」58% 日経世論調査

 早ければ2011年度からの消費税率引き上げ方針を明記した税制抜本改革の「中期プログラム」を「評価する」は32%にとどまり「評価しない」が58%に上った。麻生太郎首相が「生活防衛のための大胆な実行予算」と銘打った09年度予算案も「評価しない」が60%に達し「評価する」の24%を上回った。

 「中期プログラム」を巡っては、民主支持層の68%、無党派層の63%が「評価しない」と回答。自民支持層でも「評価しない」が40%に達し「評価する」の48%に迫る。年代別に見ても各世代で「評価しない」が上回り、30歳代では71%、ほかの世代も50―60%台が「評価しない」と答えた。(12:26)

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20081229AT3S2801028122008.html

 ぷう。

 これすべて26―28日に実施した日経世論調査の結果報道記事なのであります。

 28日午後10時から翌29日の昼の12時まで4回に分けての掲載であります。

 確かに紙面でも29日付けで一面と2面に大きく扱っている日経世論調査記事ではありますが、ちょっとネットでは時間差つけすぎで刻みすぎですがな、日経さん。

 しつこい(苦笑)。

 日経に限りませんが、紙面ではひとつの記事を、タイトルを微妙に変えて分割して、時間差をつけてネットに複数記事を載せるというこのテクですが、もちろん私達ネット利用者のためにしているわけではありません。

 大きな狙いはただひとつでありまして、当然ですが更新頻度を高めてサイトのプレビュー数増を狙ってのことであります。

 他には理由はありません。(キッパリ

 サイト運営者から聞いたわけではありませんが、間違いありません。

 長い記事を閲覧しやすいように分割すること自体は悪くはないですが、分割に半日掛かるはずもなく、ちぎっては投げ方式で時間差付けて載せているのはおもしろいですね。

 また載せるそのタイミングも絶妙です、最初は夜10時の帰宅してネットを閲覧する時間帯、第二段が朝の7時と起床してネットを閲覧する時間帯、で第三弾第四弾がお昼休みの11時、12時の時間帯に合わせています。

 すばらしい。

 ただこのテクはですね、今回のように麻生離れの結果が出た世論調査なんかで使用しちゃうと、日経が一日かけて一生懸命に麻生さんの悪口の羅列を並べている風に見えるんですよね、そういう意図があるなしは別として。

 

 だって、記事タイトルだけ並べたってこの半日でこんな感じであります。

麻生内閣支持21%、不支持73% 衆院選比例投票先、民主が自民逆転

「麻生離れ」無党派も、不支持86%に拡大 日経世論調査

首相に適任、小沢氏17%でトップ 麻生氏7% 日経世論調査

11年度からの消費税上げ「評価せず」58% 日経世論調査

 うーん。

 しつこい(苦笑)。

 ・・・

 こうなると一種のいじめじゃないかと錯覚してしまいそうですネ。

 でもこのテクはなかなか効果的なようであります。

 29日14時現在の日経の政治ニュースランキングから。

政治ニュースランキング (12/29 14時更新)

「麻生離れ」無党派も、不支持86%に拡大 日経世論調査

麻生内閣支持21%、不支持73% 衆院選比例投票先、民主が自民逆転

衆院解散は予算成立後 官房長官が見通し

韓国政府、外務省ホームページの竹島記述の削除要求

小沢氏、年内の地方行脚終了 「麻生内閣もたない」

 うーむ、日経のテクの勝利でありますね、見事ランキングの1位と2位か。

 ・・・

 でも、しつこい(苦笑)。



(木走まさみず)

chengguangchengguang 2008/12/30 15:55 xx党支持者が何人で、如何いう年代の人が何人と言うのは、どうやって調べているのでしょうか。貴方は何歳で何党支持者ですか、と聞いているのでしょうか。そして支持政党が偏っている場合や年齢層が偏っている場合には、再度別の人々に掛け直りして同じ質問をし、支持政党者数、無党派支持者数、年齢層別などを一定としてから、質問内容を分析していると言うことなのでしょうか。そうであるなら、ご苦労なことです。是非努力の跡をインターネット上に発表して欲しいものです。新聞ですと字数や枚数に制限があり、細かいデーターなどは中々発表できませんが、その点インターネットではかなり余裕がありそうですので、日経には是非公表を願いたいものです。
処で、『首相に適任、小沢氏17%でトップ』だそうですが、17%とは、大きな数字なのでしょうか。鼻糞にしか見えないのですが。

chengguangchengguang 2008/12/31 20:21 一年間、楽しく、有益な記事を有難うございました。
来年も宜しくお願い致します。本業の方でも、佳い年となることを祈っております。

kibashirikibashiri 2008/12/31 23:57 chengguang様
読者の皆様
こちらこそご愛読ありがとうございます。
どうかよいお年を!!

2008-12-27 政府は不況対策として『高速道路の無料化』を真剣に検討したらどうか

[]政府は不況対策として『高速道路の無料化』を真剣に検討したらどうか 14:13 政府は不況対策として『高速道路の無料化』を真剣に検討したらどうか - 木走日記 を含むブックマーク

 27日付け日経社説から。

社説1 広がる雇用調整に幾重にも対策を(12/27)

 急激な内外の需要減退の影響で減産が進み、雇用を減らす動きが今後一段と広がる見通しだ。現在、期間従業員や派遣社員などの解雇が注目されているが、全体的にはまだ序の口である。雇用問題はこれからさらに悪化し長期化する恐れがある。政労使は短期、長期にわたる対策を幾重にも講じる必要がある。

 総務省が発表した11月の完全失業率は3.9%と前月比0.2ポイント上昇したが、まだ深刻な水準とはいえない。8月の4.2%より低い。IT(情報技術)バブル崩壊後には一時5.8%まで高まった。完全失業者数も256万人で、最悪だったころより120万人少ない。

 しかし非正規労働者の削減などで雇用調整は急ピッチで進んでいるうえに、大幅減産が製造業全体に広がっており、離職者の一層の増加は避けられない状況だ。厚生労働省の調べでは、10月から来年3月までに失業及び失業することになる非正規労働者は約8万5000人となり、11月末調査より3倍近くに増えた。

 厚労省発表の11月の有効求人倍率は10カ月連続して下がり0.76倍にとどまった。求職者が増えているのに求人の減り方が大きいためである。新卒者の採用内定取り消しも増えており、これから職に就けない人が累増することが予想される。

 政府の経済見通しでは、2009年度の完全失業率を4.7%程度と予測している。政府は09年度予算案と第2次補正予算案を合わせて1兆円規模の緊急雇用対策をまとめている。この対策を実行しても09年度の完全失業率は4%台後半まで高まるというわけである。

 対策には効果がはっきりしないものも含まれている。フリーターや高齢者、障害者などを採用すれば、1人当たり数十万円から100万円の奨励金を事業主に支給する制度などは、焼け石に水との印象を否めない。

 基本的には、緊急の対策と長期的な対策を総動員しなければならない。まず急増する離職者に当面の生活と再就職のための職業訓練を保障するセーフティーネットの整備が求められる。行政による住宅支援や臨時雇用の提供は既に始まっている。

 世界的な不況の深刻化に伴い、国内の自動車生産台数は11月に前年同月比で約20%も落ち込んだ。底が見えない状態で、産業によっては規模を縮小し、雇用数を恒久的に減らす可能性もある。離職者を介護、医療、サービスなどの人手不足の分野に誘導する強力な政策も要る。

 政労使は力を合わせて、具体的に対策を練り早急に遂行してほしい。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/index20081226AS1K2600726122008.html

 社説の結び。

 基本的には、緊急の対策と長期的な対策を総動員しなければならない。まず急増する離職者に当面の生活と再就職のための職業訓練を保障するセーフティーネットの整備が求められる。行政による住宅支援や臨時雇用の提供は既に始まっている。

 世界的な不況の深刻化に伴い、国内の自動車生産台数は11月に前年同月比で約20%も落ち込んだ。底が見えない状態で、産業によっては規模を縮小し、雇用数を恒久的に減らす可能性もある。離職者を介護、医療、サービスなどの人手不足の分野に誘導する強力な政策も要る。

 政労使は力を合わせて、具体的に対策を練り早急に遂行してほしい。

 まず、「緊急の対策と長期的な対策を総動員しなければならない」とありますが、緊急の対策として「急増する離職者に当面の生活と再就職のための職業訓練を保障するセーフティーネットの整備」などを早急に対応することは同感なのですが、長期的な対策は、「世界的な不況の深刻化に伴い、国内の自動車生産台数は11月に前年同月比で約20%も落ち込」む「底が見えない状態」の不況の中で、どうすれば「離職者を介護、医療、サービスなどの人手不足の分野に誘導する強力な政策」を実現できるのか、いまひとつ具体的な政策が見えないのであります。

 すぐ実施可能な介護、医療、サービスなどの人手不足の分野に誘導する策としては、「離職者に」「再就職のための職業訓練を保障するセーフティーネットの整備」する一環として、政府の支援のもとで離職者が介護や医療などの各資格を取りやすくなるよう支援する、また広く一般には、そのような分野をこれから学習しようという人に政府から教育費用を一部援助する制度の導入などがあげられましょう。

 それはそれで有効な策があればぜひ実施していただきたいです。

 しかし、根本的には世界全体の経済が冷え込む中で外需に期待できない以上、何らかの斬新な手法で内需をテコ入れしないと失業者の増加に歯止めをかけることは難しいと思われます。

 ・・・

 地球環境には全然やさしくない政策であることは理解した上でですが、ここは不況対策として民主党が唱える『高速道路の無料化』を真剣に検討してみてはいかがでしょうか。

 経済状況がここまで悪化した以上、無料化に伴う2兆5千億の財源の問題は、解決するハードルはかなり低くなっていると思います。

 そもそも現在も自動車オーナー達が払っている道路特定財源の一部を回してもよいし、民主党の提案どおり、完全無料化ではなく、首都圏や阪神圏など無料化すると混雑が予想される都市部ではしばらく有料のままに据え置くことで、5000億程度の財源は確保できるはずです。

 もちろん、『高速道路の無料化』にはメリットだけでなくデメリットが伴うわけですが、内需を喚起する不況対策としてはかなり有効なのではないかと思われます。

 まず、物流コストが低減されますから、幅広い産業分野でその経費削減効果が顕れることでしょう。

 また、高速道路を無料化することにより、特に地方経済の活性化により貢献することでしょう。

 物流コストの軽減は、高い土地代を支払って維持してきた都市部の産業拠点の地方への拡散、すなわち物流拠点や生産拠点の地方移転を促すことでしょう。

 物流業だけでなく、観光業や各地地場産業など幅広く活性化をうながし内需を喚起する刺激策としては有効だと思われます。

 そして、何よりインフラの利用料金を低くすれば利用者が増えるのは、インターネットの普及を見ても自明なことであり、消耗品としての自動車の販売に大きくテコ入れができることでしょう。

 政府は民主党案を一蹴していますが、未曾有の不況の中、『高速道路の無料化』は幅広い産業分野の内需喚起と自動車産業活性化という面で、真剣に検討してみる価値があるのではないでしょうか。

 もちろん高速道路6社やJR・航空各社など既得権益にからんだ根強い反対意見が一部にあるのは承知していますが、現下の不況は尋常ではない勢いで深化しているわけで、内需喚起策としての『高速道路の無料化』は、国民の多数が支持すると思いますがいかがでしょう。

 ・・・



(木走まさみず)

ト 2008/12/28 20:16 一度無料化したら既存の高速を有料に戻すのは至難の業でしょうねw

○ 2008/12/28 20:50 しばらく前まで長距離トラックに乗ってました 運送業界のコスト削減は行き着くところまで行きつき、もはや「物流費」には高速代など最初から入ってません 田舎は比較的国道がすいてることもありほとんど常に国道です  高速がガラガラなのに並行する国道はトラック数珠つなぎのこのバカバカしさ 混雑する都市部と動脈部分を除き 日本の高速道路は土建屋のためにあるのであって 利用者の利便のためにあるのではありません 私も高速は無料化すべきとは思いますが、今でも高速を使う贅沢のできる運送会社はヤマトや佐川など一にぎりでしかないので、現場にいる者としては物流コスト低減効果があるのかどうか疑わしく思えます 何事も現場にいればいろいろ見えてくるものです

isao-pw大城 勲isao-pw大城 勲 2008/12/29 15:28 高速道路が無料になれば渋滞を避けて通れる選択肢が増えますので物流のみならず営業コスト低減に極めて有効です。
そうすれば運送会社でもヤマト、佐川などとの格差が縮小して零細企業にも有利に働く筈です。
現在のETC装着車のみに有利な割引制度など格差を拡大して行く方向とは逆に全ての格差を解消してこそ国民が希望を持てる社会実現への小さな(長期的には偉大)な一歩だと思います。
因みに私はタクシードライバーです。

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